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2020.06.11 蕁麻疹

すんげえ痒い。

 

 事のあらましはこうだ。2020年05月30日、副鼻腔の治療のために耳鼻科へかかり5時間待たされたのち、薬を処方された。その1週間後の2020年06月06日、薬を弱めましょうとアモキシシリンカプセル錠からクラリス錠への切り替えを行う処方をもらった。実際に薬が切り替わったのは7日の晩で、翌朝の8日の7時頃にほんの少しの蕁麻疹が出た。前日に食べた寿司やししゃもが悪さをしたのか?と一日様子をみたところ症状が悪化。翌9日に耳鼻科へかかってから皮膚科へかかり、点滴と血液検査を受けた。現在11日、症状の容態は平行線を辿り(医師によると快方には一応向かっていると言うが)、痒みは増すばかりである。すんげえ痒い。

 9日の血液検査の結果、白血球数が 2790 /uL と基準値を下回っていた。医師によると「おそらく薬疹でしょうね」との事だった。現在では白血球数が 8900 /uL まで回復しており、発疹の赤みも取れつつある(が異様に痒い)。 副鼻腔を治そうと真摯に病気に向き合った結果、わたしは3日もの間、剣山で刺される様な痒みに耐えるハメになった。これもまた一つ人生の醍醐味というやつである。私にとって生きる事とは、苦しい事とそれよりは苦しく無い事(大抵の人はそれに喜びや幸せという名前を付けている)に一喜一憂する事なのである(私が愚かである限りは)。

 かくして私は全身に蕁麻疹が広がってから3日間もの間、苦しみをやり過ごす方法を考える事だけに集中して過ごしていた。水を浴びたりエアコンの温度を18度に設定したり、痒いと連呼してみたり、だ。最も効果のある痒みのやり過ごし方は睡眠を取る事なのであるが、睡眠を取るのがまあ難しい。眠りにつこうと横になると意識がすべて痒みにフォーカスされてしまうのである。ああ、痒い。シロアリが私に巣を作っている。運よく眠れてもまた痒みで起こされる。シロアリの次は硫酸を浴びて起きるのである。なんと素晴らしい目覚めだろう!

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 苦しみから逃がれられるという幻想を抱いている内は苦しみを克服する事はない。苦しみに対抗する唯一の手段は苦しみに真摯に向き合う事である。これはどの様な種類の苦しみに対しても有効だ。今回は痒みと向き合っている(できれば向き合わずにいたいが、理不尽な事が起きるのが人生というものだ)。痒さと向き合ったところで、痒さは過ぎ去ったりはしない。ただ苦しいだけである。でもそれが現状であると諦める事である。そもそも、人生には苦しい事とそれよりは苦しく無い事(大抵の人はそれに喜びや幸せという名前を付けている)しかない。根本的にはすべて苦しいから嬉しいのであり、嬉しいから苦しいのである。本当だ。嘘じゃ無い。全て程度の問題だ。

 起きている間ずっと痒みに犯されていると気がつく事がいくつかある。生きるということはいつ理不尽が襲ってきてもおかしく無いという事。襲ってきた理不尽に立ち向かう方法はただ耐えるしかないという事。起こった理不尽に腹を立てても誰も機嫌をとってくれないという事。諦めるしか無いという事。まあ、結局なにをしても、痒い。

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 私はこれまでの人生で喜びを最大化させて生きてきたが、それは苦しみを大きくするだけだった。この世にはそういう物理法則がある。多分。高いところの物が低いところへ落ちる様に、電圧が電流を生む様に、嬉しいと苦しいし、苦しいと嬉しいのである。私の気持ちは水が流れるのとそう大差なく、ただその流れに滝だとか瀞だとか名前を付けているだけに過ぎない。具体的には喜びとか苦しみとかである。マッサージを受けて気持ちが良いのも、殴られて痛いのも根本的には同じだ。ただ程度の問題である。そして、それに滝と名付けるのか瀞と名付けるのかという問題である。少なくとも私にとっては。そうやって訳のわからない理屈をつけていないといてもたってもいられずに心に怒りが生まれるので訳のわからない理屈をつけて妄想している。そうやって考え事をしていないと気が狂いそうなほど、まあ、結局は、痒い。

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 痒みにフォーカスするのは私の意識が痒みを求めているからだろうか?痒みという物が実際にあるからだろうか?感覚器官が過敏に反応しているからだろうか?脳の神経細胞が違うシナプスを繋いでしまっているためだろうか?どうせこの世で起こっている事の全ては私の脳内で完結する事なのだからその辺は上手くやってほしいものだ。たとえ私が宇宙の端にたどり着いたって、私は大脳新皮質より外には出ていけない。なんともバカらしい話だ。だというのに、脳の外側で起きている皮膚疾患で苦しむのはどういう了見なのだろう。いけない。この世の成り立ちに怒ってもまるで意味がない。でもそうでもしないと、まあ、結局は、痒い。ところで、脳を介さずにこの世を理解することは人間に可能なのだろうか?

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 ヒステリックな思考に支配されているこの日々が早く終わります様に。うげ。